超音波検査の歴史、種類
超音波検査の歴史
1927年にWoodとLoomisにより生物の超音波照射に関する研究が発表され、1931年にR.Pohlmanにより生体組織の超音波吸収の測定結果が報告された。
臨床への応用は1949年K.T.Dussikが脳内疾患の診断を実施した結果の報告が初めてである。その後、脳疾患の超音波による診断が相次いだが、いずれも超音波吸収が組織の種類によって異なることを利用するもので、透過してきた超音波を反対側で受信して診断するものであった。その後パルス反射法の研究が始まり、1950年にJ.J.Wild、菊池、田中、和賀井らがこれらを臨床へ応用した。以後、1950年に代にAモード、Bモード、Mモードが完成あるいは開発され、1970年代に入り、超音波診断が完全に臨床のなかで使われるようになった。
画像モードの種類
Aモード
モニタの縦軸に反射波であるエコーの強さを高さで、横軸にこのエコーが生じる境界面の距離を表示する方法である。現在でも主に眼科領域で用いられる。
Bモード
超音波が発信される向きとは別の向きに超音波の発信源を移動させ、得られたエコーの強さを輝度に変換し、超音波が進む方向と平行な断面でのエコー分布と輝度の二次元像を得る方法である。現在、組織断層像を得るのに最も広く用いられている方法である。
超音波は『やまびこ』に例えられるように、何かに当たると跳ね返ってきます。Bモードでは、跳ね返って来きた超音波の強さを『輝度』として表示します。画像では白っぽく見えたり、黒っぽくみえたりするのは、反射波が強い、弱いの差である。
超音波ドップラー法
消防車が観察者に近づいてくるときはサイレンが高く聴こえ、遠ざかる時には低く聴こえる。これは音波の間隔が、音源が観察者に近づくと密になり(周波数が高くなり)、遠ざかると粗になる(周波数が低くなる)ために起こる現象で、ドップラー効果を利用して血流の速度や方向を測定するのが超音波ドップラー法である。
ドップラー法の種類
連続波ドップラー法、パルスドップラー法、カラードップラー法がある。
1) 連続波ドップラー法は全ての血流を検出測定可能だが、位置情報が含まれていないため血流の存在部位を特定することができない。パルスドップラー法は生体内の任意の深さの血流測定が可能で腹部体表などの血流評価はほとんどこの方法で検査されている。
2) カラードップラー法は生体内血行動態に色をつけリアルタイムで表示する方法である。
3) 連続波ドップラー法やパルスドップラー法がごく狭い範囲の血流情報を表示するのに対し、カラードップラー法では2次元断層面上の広範囲に渡る血流情報が得られる。また、血流情報を波形ではなく色として表示するため視覚的に捕らえやすいという利点がある。