Case4
下顎頭の変形
 
 
患者:35歳 女性 主訴:  開閉口時の顎関節の痛みと開口障害
 

TMJパノラマX線写真(閉口時、開口時)

 

両側顎関節部の形態異常はパノラマX線写真で示したものと同様である。両側下顎頭の運動状態は開口時の位置が関節結節より下方にあり、ほぼ正常である。

パノラマX線画像 

 

両側下顎頭頭頂部は正常な下顎頭形態が消失し、下顎頭の狭小化と鋭利化が生じている。また、両側関節結節も曲線状態から角状になっている。更に両側下顎窩平坦化している。矯正装置が装着された状態である。右側上顎4及び左側上顎3根尖には根尖部歯根膜腔と連続したX線透過像を認める。慢性根尖性歯周炎(歯根肉芽腫)の所見である。 全歯牙周囲の頂部歯槽骨は歯根1/3レベル程度の吸収を示している。軽度の辺縁性歯周炎の所見である。
 
MRI画像(左側閉口T1)



 左側閉口T2



左側開口T1 

 


左側冠状断T1 

 


 
 右側閉口T1



右側閉口T2 



右側開口T1 

 


右側冠状断T1 

 

 
           パノラマX線写真上で指摘したように、両側下顎頭頭頂部は正常な下顎頭形態が消失し、下顎頭の狭小化と鋭利化が生じている。更に、内部のMR信号は両側下顎頭ともT1、T2WIともvoid signalを呈しており、壊死状態であることを示している。両側顎関節円板とも著しく前方方向に偏位しており、開口時も復位していない。顎関節円板は復位を伴わない前方転位の状態である。但し、周囲軟組織の形態は正常である。また、パノラマX線写真上では異常に見えた両側関節結節及び下顎窩形態も正常である。
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