Case2
下顎頭の破折
 
  患者:48歳 女性 主訴:左側下顎頭部の開口時違和感  

オルビトラムス法

 

両側下顎頭、顎関節窩及び関節結節形態に明らかな異常所見は認めない。左側下顎頭は右側に比べ、若干運動制限を示すため下顎頭上縁が不明瞭になっている。

TMJ パノラマX線画像 (閉口時・開口時)

 
左側下顎頭前方部に閉口時3つ認められた塊状のX線不透過物は、開口時大きいものと前方にあるものの中で上部にあるものの二つになっている。下方にあったものは大きいものと重なっているため確認できない。これらの所見は、大きいものは下顎頭の運動に同調して移動しているが、小さいものは同調せず移動していないことを示している。
 
パノラマX線写真



左側下顎頭前方部に塊状のX線不透過物を3つ認める。不透過物の不透過性は骨梁とほぼ同程度である。一番大きな不透過物の辺縁後方部は不規則な形態を示しているが、左側下顎頭前方部の形態と一致している。下顎頭前方部の破折片である。また、他の2つについては長楕円形を呈している。滑膜性軟骨腫の石灰化物である。但し、腫瘍は骨を吸収していないため描出されない。 右側下顎8歯冠は欠損し、挺出により歯根周囲歯槽骨はほぼ根尖迄消失している。同部の辺縁性歯周炎、根尖性歯周炎及び挺出の併発所見である。 全歯牙周囲の頂部歯槽骨は歯根1/3レベル程度の吸収を示している。軽〜中等度の辺縁性歯周炎の所見である。
 
           戻る