Case1
下顎頭の破折
 
 
患者:69歳女性 主訴:左側下顎頭部の違和感  
 

頭部X線写真(側方)

 

左側上顎第一、第二大臼歯歯根には根充剤の充填を思わせる線状のX線不透過像を認める。左側上顎第一大臼歯口蓋根根尖部歯根膜は拡大し、根尖部歯槽骨はX線透過像を認める。同様の所見を左側上顎犬歯にも認める。根尖部のX線透過像は歯根膜腔の拡大部と連続している。左側上顎第一大臼歯及び犬歯原因の慢性根尖性歯周炎(歯根肉芽腫)の所見である。

パノラマX線画像 

 

左側下顎頭前方部に塊状のX線不透過物を認める。不透過物の不透過性は骨梁とほぼ同程度である。不透過物の辺縁後方部は不規則な形態を示している。また、左側下顎頭前方部辺縁は不規則な形態を示している。 上下顎歯槽骨は吸収し頂部は波状形態を示している。特に上顎は両側とも上顎洞底に近接している。 右側頬骨は肥厚し、三角形状を呈している。それに伴い、パノラマ無名線も肥厚しし不明瞭化している。更に、パノラマ無名線から上顎骨後方迄は不透過性亢進している。右側上顎洞根治手術後の所見である。
 
P-A view



左側下顎頭領域に明らかな異常所見は認めない。 右側上顎洞の壁を表す線状影は不明瞭で、上顎洞形態ははっきりしない。また上顎洞相当部はX線不透過性の亢進を示している。右側上顎骨の頬骨突起から頬骨下陵へ連続する彎曲形態の角度は約90°であり、正常より小さくなっている。上顎洞根治手術後の変化を示す所見である。

オルビトラムス法 



両側下顎頭、顎関節窩及び関節結節に明らかな異常所見は認めない。両側下顎頭とも運動制限を示さないため下顎頭上縁が明瞭に確認される。

シュラー法

 

左側下顎頭前方部に塊状のX線不透過物を認める。不透過物の不透過性は骨梁とほぼ同程度である。また、左側下顎頭前方部辺縁は不規則な形態を示している。但し、病変描出の明瞭性はパノラマX線写真の方が高い。閉口時両側下顎頭の位置は正常である。

 
           
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