非歯原性の悪性腫瘍である扁平上皮癌が歯肉に発生したものです。
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<右側下顎第二小臼歯部に発生した歯肉癌>
1. 境界不明瞭で辺縁不規則な骨浸潤像 |
2. 歯槽骨が破壊された病巣内に小骨片が残存していることがある |
3. 骨硬化像は見られない |
4. 局所的、単発的に見られる |
歯周病と歯肉癌の鑑別についてはこちら
なぜこのような所見が現れるのでしょうか? |
なぜ骨転移、骨浸潤が起こるのかというのは説が二つあります。
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このように癌細胞は骨に浸潤すると考えられているのですが、それだけで骨の吸収が起こるのかというとそうではないようです。 骨の破壊は癌細胞により直接引き起こされているのではなく、破骨細胞を介して起きているというのが現在最も有力な説のようです。 おそらく口腔扁平上皮癌自身がサイトカインを産生することにより顎骨浸潤するのではないか、また、口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤はほかのサイトカインの発現がRANK-RANKL経路を経て破骨細胞に働きかけるのではないかと現在考えられています。 |
参考文献
野村武史:顎骨浸潤能を獲得した口腔扁平上皮癌の特性を探る.歯科学報,105(1):13-21
柴原考彦:下顎骨浸潤能をもつ歯肉癌 -破骨細胞誘導サイトカインの役割- http://www.tmd.ac.jp/mri/coet/Publications/coesympo7shouroku.pdf