顎変形症とは
アゴ(顎)の骨の変形により、上顎または下顎が大きく出ていたり、引っ込んでいたりしている場合や顔が非対称で歪んでいる場合などを総称して、「顎変形症」と呼んでいます。
具体的には、著しい受け口(下顎前突)、出っ歯(上顎前突)、下顎の横へのずれ(交叉咬合、顔面非対称)、上下の前歯の間が離れている(開咬)などがあります。日本人では下顎前突症がもっとも多く見られます.顎の発育異常や外傷・手術後の変形などが原因と考えられています。




問題点
このような状態では、うまく食べ物が噛めなかったり、発音が不明瞭になったりすることなどのいろいろな障害がでてきます。また「受け口」「前歯が出ている」「顎が横にずれている」などと言われて容貌に悩むことも少なくありません。




■治療法
顎の形や歯の噛み合わせを正常にするための、歯列矯正外科矯正などが行われています。歯列矯正は歯列矯正装置を使って歯を動かし、受け口などの悪い歯並びを治します。治療期間は、個人で異なりますが、平均すれば2年から3年です。顎の骨が発育期にあるまだ小さい子供のうちは歯の矯正で対処できることもありますが、成人してからは時間的、社会的な制約だけでなく医学的な理由からもなかなか治療することは難しくなってきます。現在ではこのような方々に対しては多くの場合、歯列矯正に外科矯正を組み合わせることで、治療が可能になっています。




■手術による矯正(外科矯正)とは
顎変形症に対する手術で、上顎骨、下顎骨といった骨全体を手術で前後、上下、左右に移動したり(骨切り術と呼びます)、歯を含む骨の一部だけを切って動かし、噛み合わせと容貌を正しく整える手術です。多くの場合、顎の骨の移動だけでは、噛み合わせが正常にならないため、術前、術後に歯列の矯正を行います。
手術は、全身麻酔下で行います。移動させた骨は体に為害作用のない材料でできたネジやプレートで固定をします。術式によっては、プレートを使用しない場合もあります。基本的に手術は口の中から行われます。
顎骨の安静が図られるよう、顎間固定といって上下のかみ合わせを固定した状態で手術は終了します。手術方法によっては1週間以上固定する場合もあります。

外科矯正手術の計画にあたって最も重要なことは、患者様にあった適切な方法(歯列矯正と外科手術との組み合わせなど)を探すことです。
当科では、顎顔面の持つ重要な機能の調和を目指して、患者様とともに治療法を模索し、最良の結果が得られるように尽くしています。


下顎前突症  
術 前 術 後
 
 
 

下顎後退症  
術 前 術 後
 
 

開 咬  
術 前 術 後

開咬+下顎前突症  
術 前 術 後
 
 

非対称  
術 前 術 後
 
     



■具体的な術式


1. 下顎骨骨切り術: 下顎枝矢状分割術(SSRO)
下顎枝垂直骨切り術(IVRO)
下顎枝矢状分割術 下顎枝垂直骨切り術

2. 上顎骨骨切り術:Le Fort沍^骨切り術
Le Fort I 型骨切り術
3. 上顎前歯部部分骨切り術:Wusmund-Wunderer法
4. 下顎前歯部部分骨切り術:Kole法
5. オトガイ部骨切り術:オトガイ形成術
6. 骨延長法(一期的な骨移動が困難な症例)



■保険はきくのですか?
はい保険適用です。さらに高額医療給付の対象になります但し、矯正科受診が必須となりますこの場合の矯正治療も手術前提と診断されると保険適用範囲となることがあります



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