Case5
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パノラマX線写真

・右側上顎洞は全体にわたり不透過性亢進を示している。但し、上顎洞底線は若干不明瞭な部分を認めるものの、右側上顎洞を取り囲む壁を示す線はintactである。

Water’s
projection

・右側上顎洞壁全体にわたり、不透過性亢進を示している。また、右側鼻腔にもその不透過性変化は連続している。但し、右側上顎洞壁を構成している骨の肥厚及び消失像は認めない。

X線CT写真
(軟組織&
   骨モード)

・著明な金属アーチファクトによりpoor studyである。
左側上顎洞前方部を中心に境界明瞭なsoft tissue density structureを認める。大きさは5.0×4.5×4.0 cm程度で、不整形を呈している。内部の造影効果は周囲軟組織より若干高く、ほぼ均一である。病変に接する上顎洞前壁、内側壁及び後壁に骨の連続性が断たれた粗造化領域を認める。但し、どの壁も完全な消失はない。軟組織モードではほぼintactである。また、病変は皮下に近接している皮膚固定はない。上顎洞原発の腫瘍が、少ない骨破壊を示しながら周囲軟組織に浸潤している状態である。浸潤を示す領域は、右側上顎洞、同部の皮膚、右側鼻腔である。病変周囲の右側上顎洞底後方部には腫瘤の造影効果とは異なる層状のsoft tissue density mass領域も認める。同部の粘膜肥厚であり腫瘍の存在に伴う炎症性変化の所見である。
両側前、中篩骨洞、右側前頭洞はsoft tissue density structureで充たされている。周囲の骨がintactであり、腫瘍浸潤というよりも炎症性変化に伴う粘膜肥厚である。
所属リンパ節に関して、明らかな腫大を示すものはない。

 
診断 右側上顎洞原発の悪性リンパ腫
  注意:この症例のように上顎洞等の生じた悪性腫瘍が比較的骨破壊なく周囲組織に浸潤するものもある。特に、悪性リンパ腫と腺系の悪性腫瘍はこの様式にて浸潤傾向を示す。