(1)次のうちから齲蝕を選べ
a.間違い。21の歯冠部に透過像が存在する。しかし辺縁がなめらかでエナメル小柱の走行に沿っているとは言い難い。
そのためこれは窩洞であると考えられる。


b.間違い。11、21、22の歯冠中央部の透過性が高いように思われる。
これは切歯部の歯冠の解剖学的形態のためである。


c.間違い。bと同様の理由。


d.正解。C1〜4の分類でいずれに属するかは判断し難いが歯頚部に齲蝕と思われる透過像が見られる。


Ans,d

(2)つぎのデンタルエックス線写真上の透過像はすべて齲蝕によるものである。
これらをC1〜4の順に正しく並べよ。
a.8の近心に象牙質の1/2を超える透過像が存在する(C4)。


b.3の遠心にエナメル質の1/2以上をない透過像が存在する(C1)。


c.切歯隣接部にエナメル質を超え象牙質の幅1/2は超えない透過像が存在する(C3)。


d.エナメル質の1/2以上を超えるが象牙質までは達していない透過像(C2)


Ans,b→d→c→a

(3)次の写真の根尖部に見られる病変はつぎのうちどれか

エックス線透過像が境界明瞭な類円形であることから、良性の腫瘤性疾患と考えられる。
歯根膜腔が病巣に連続しており、さらに原因と目される歯が失活している可能性が高い。
明らかに8mm以上の大きさを有しているため歯根肉芽腫ではないと判断できる。
腺腫様歯原性腫瘍については、未萠出歯と関連して存在し、歯冠および歯冠から歯根を透過像内に含むことが多い病変である。
 なお、腺腫様歯原性腫瘍の特徴は透過像の内部に小石灰化物が見られることである。
よって答えは歯根嚢胞と考えられる。
Ans,B

(4)つぎの写真上で最も疑われる疾患は次のうちどれか?

但し炎症は臨床所見では見当たらなかった。



根尖部歯根膜腔に連続したエックス線透過像である。

透過像内部には、漏出した根管充填剤と思われるエックス線不透過像が認められる。

よって、根尖孔と連続していると考えられる。そのため、角化嚢胞性歯原性腫瘍は否定的である。

臨床上、炎症所見が認められないため、活動性の炎症はないと考えられる。

よって、これは根尖性歯周炎の治療後で、骨が形成されていない状態と考えられる。

歯周病検査のため10枚法全顎撮影を行った場合やパノラマ撮影を行った場合、症状はないが、偶然このようなエックス線所見が見つかる可能性がある。

このような場合、治療歴についてしっかりと問診し、不要な根管治療を行わないよう注意しなければならない。

Ans,B